
チームが立ち返る大切な場所である「フィロソフィー」。繰り返しミーティングで説き、選手に刷り込んでいく【Getty Images】
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チームが勝つために、全力を尽くそう!
日本人は、勝つことへの執着心が弱いと言われています。和を尊び、争いを好まないとも言われていて、それ自体は素晴らしいことです。しかし、勝ち負けのあるスポーツにおいては、勝つために全力を尽くさなければならない。それは子どもでも同じです。その結果、負けても、まったく問題ありません。
勝つために全力を尽くすからこそ、負けても得るものはありますが、最初から負けてもいいと思っていたら、勝っても負けても得るものはありません。
「自分たちのサッカーを」とよく言われます。私も、この「自分たちのサッカー」の元となるポリシーや哲学は大切だと思っています。ただし、それを勝負の言い訳にしてはいけません。
哲学やポリシーは、勝つことと相反することではなく、当然、両方を追わなければならないのです。
コーチには、チーム作りと、相手を研究したうえでの試合での采配という2つの仕事があります。日本人のコーチは、どちらかというとチーム作りに重点を置き、采配で勝つのは邪道だくらいに思っている人が多いように感じます。もちろん、チーム作りの大切さは微塵も否定しませんが、采配で勝つことによって、チームはもっとよくなっていくものです。両方を追う必要があるのです。
あるチームの監督をやっているとき、ユースのメンバーで、海外のプロチームと公式戦を戦わなければいけなくなったことがありました。私は、前日練習を見ていました。普段は見ていないユース選手は、リラックスしてミニゲームをしていました。ところが、片方のチームが一方的に得点を重ねていました。そこで私は、負けているチームに聞きました。
「ちょっと待って、一方的にやられて、悔しくないの?」
すると、こんな答えが返ってきました。
「明日は試合で、今日はコンディショニングですから、勝ち負けは関係ありません」
私は激怒して、言いました。
「そんな気持ちで臨んだら、どれだけコンディションがよくても、何十点も入れられてしまう。コンディションなんてどうでもいいから、戦え!」
それから、1時間以上のハードトレーニングを課しました。
翌日は、そのチームにとって伝説の試合となりました。蝿がたかるようにボールにチャレンジし、抜かれても倒されても、何度も起き上がり、チャレンジを続けてくれました。ベンチの私は感動しました。そして、神様が勝利というプレゼントをくださったのです。
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April 14, 2020 at 08:19AM
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