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「30~40年代の伝統的世界を現代のスタイルで表現」…銀獅子賞「スパイの妻」に審査委員 - 読売新聞

 【ローマ=笹子美奈子】イタリア北部ベネチアで12日夜(日本時間13日未明)、第77回ベネチア国際映画祭の授賞式が行われ、黒沢清監督(65)が「スパイの妻」で、コンペティション部門の監督賞(銀獅子賞)を受賞した。日本人の同賞受賞は、2003年の北野武監督(「座頭市」)以来17年ぶり。最高賞の金獅子賞は、中国出身のクロエ・ジャオ監督が米国で撮った「ノマドランド」が受賞した。

 「スパイの妻」は、太平洋戦争前夜の神戸などを舞台に、スパイと疑われる夫と、支えていく妻の愛を描いた物語。蒼井優さん(35)と高橋一生さん(39)が夫婦を演じている。高精細の8Kで撮影されたNHKのテレビドラマの劇場版だ。

 黒沢監督作品の同映画祭出品は4度目で、コンペティション部門は初めて。新型コロナウイルスの影響で現地入りできなかったが、授賞式にビデオメッセージを寄せ、「大変驚いています。言葉では言い尽くせない喜びを感じています。長い間、映画に携わってきましたが、この年齢になって、こんなに喜ばしいプレゼントを頂けるとは、夢にも思っていませんでした」と語った。

 審査委員の一人、ドイツのクリスティアン・ペッツォルト監督は、授賞式後の記者会見で「オペラ的なリズムと画面作りで政治ドラマを描く。1930~40年代の伝統的な世界を現代のスタイルで表現している」と評価した。

 黒沢監督は兵庫県出身。立教大学在学中から8ミリ映画を撮り始め、1983年にピンク映画で監督デビュー。97年公開の「CURE キュア」が国内外で注目を集め、その後も話題作を次々と発表した。

 海外での評価も高く、仏カンヌ国際映画祭では、「回路」で国際批評家連盟賞を受賞したのをはじめ、「トウキョウソナタ」「岸辺の旅」の2作が「ある視点」部門で賞に輝いている。2016年公開の「ダゲレオタイプの女」を全編フランスで外国人俳優・キャストを使って撮るなど、活動の幅を広げている。

 ホラー、スリラーなど恐怖映画に定評があるが、近作では女性を主人公にした恋愛の要素のある映画を数々手がけ、本作では初めて歴史ドラマに挑戦した。

 黒沢監督は13日午後、改めてオンラインで記者会見に臨み、「紆余うよ曲折ありながらも、ここまで来られた。長くやってきたからこそ、この物語や、スタッフ、キャストと巡りあえた。その幸運が、受賞という結果を生んだと思っている」と振り返った。

 映画評論家の斎藤敦子さんの話「受賞には全く驚かなかった。以前から、海外の批評家の間で黒沢監督の評価は高く、国際映画祭で大きな賞を受賞するのは時間の問題だった。黒沢監督は、自身が優れた映画評論家だということもあり、通俗的な表現や、誰かが前にやったことを嫌う。作家性が強く、一般受けはしないところもあったが、ようやく時代と、黒沢監督が描く世界が合ったのだろう」

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September 14, 2020 at 09:13AM
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