Search

【書評】『パンデミックと漢方 日本の伝統創薬』渡辺望著 西洋より先端的な「和薬」 - 産経ニュース

 戦国時代から日本には名医がいて優れた創薬があった。

 「正親町(おおぎまち)天皇は宮中で倒れ人事不省に陥った。おおぜいの宮中侍医は慌てふためくばかりで対処がわからない。しかし侍医の一人の曲直瀬玄朔(まなせ・げんさく)だけが天皇の症状から『続命湯』という処方の投与を忠告した。服薬したことで天皇の症状はたちどころに回復した」

 この曲直瀬玄朔の弟子が施薬院全宗。あらゆる薬草に通じ、調合し、秀吉の侍医にまで上りつめた。そういえば国学の大家、本居宣長も漢方医だった。

 日本には独特な伝統的創薬がなされ発展していた。当時の世界的レベルで最も先端の医学を走っていた。徳川家康は長寿を全うしたが、自身が医師並みの薬草、調合法、そして施療に通じていた。医学・薬学への知識は並大抵ではなかった。

 近代になって「蘭学」への対応から「漢方」と呼んだ。遣隋使、遣唐使の時代から日本は多くの書物を輸入したが、薬物と医学、医療は中国の知識を吸収したものの日本独自の療法、そして薬剤を用いた。

 世界で最初の麻酔手術は華岡青洲である。ワクチンの最初の発明は秋月藩の漢方医、緒方春朔。ジェンナーの種痘より6年早かったのだ。

 したがって「漢方」という呼び方は間違いだ。「漢」を冠するとあたかも中国から伝わって進歩的医学のような錯覚を起こしかねない。漢方は日本の医学・薬学であるのだから「和薬」とすべきだと著者は指摘する。

 中国の医学は不老不死が基本の発想で茶の概念が日中では異なる。日本では薬として茶を飲まない。中国人は薬剤の一種として飲茶する伝統がある。

 日本は茶道の一期一会、哲学のレベルにまで高めた。

 いま話題の「アビガン」は漢方から発展した「和薬」である。日本の医学・薬学は世界の先端を走ってきた事実があるにもかかわらず現代日本では医師も厚労省も、そしてメディアも西洋医学のほうが進歩的、先端的という迷信をまだ信じている。

 明治以後、どっと西洋の文化、思想、科学技術、そして外科手術などが輸入され、価値倒錯がおきた。戦後はアメリカ一辺倒。本書は既成の医学薬学概念に復古の空気を運んだ。(勉誠出版・1500円+税)

 評・宮崎正弘(評論家)

Let's block ads! (Why?)



"伝統的" - Google ニュース
August 09, 2020 at 07:00AM
https://ift.tt/2PEAu3w

【書評】『パンデミックと漢方 日本の伝統創薬』渡辺望著 西洋より先端的な「和薬」 - 産経ニュース
"伝統的" - Google ニュース
https://ift.tt/2uBcUNS
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

1 Response to "【書評】『パンデミックと漢方 日本の伝統創薬』渡辺望著 西洋より先端的な「和薬」 - 産経ニュース"

  1. Kalah terus main di tempat lain?
    mari coba disini a+j+o+q+q (+855969190856)
    Sedia deposit pulsa juga (min 20rb)

    ReplyDelete

Powered by Blogger.