2度の4大大会優勝を誇る世界10位の大坂なおみ(22=日清食品)が、復帰初戦を215日ぶりの勝利で飾った。

新型コロナウイルスの感染拡大で中断していた世界ツアーが再開後、初の試合で、6カ月半ぶりとなった。そのブランクも感じさせず、同26位のムホバ(チェコ)に6-7、6-4、6-2で逆転勝ち。「最初は神経質になった。でも、うまくチャンスをつかむことができた」と、1月22日の全豪2回戦で、鄭賽賽(中国)に勝って以来の勝利をあげた。

最後は、この日、12本目のエースをたたき込み、2時間33分の接戦を制した。相手は、昨年のウィンブルドンで8強に入った伸び盛り。女子には珍しく、ネットもうまく、ストロークも安定しており、ドロップショットの小技もある。以前の大坂なら、慌てふためき動揺するタイプだが、この日は冷静に対処した。

自分のミスに対し、1度も声を上げなかった。「勝敗を分けたのは、たぶん(気持ちの)持ちようかな」。試合中に感情の起伏が激しいのは、大坂の特徴だった。しかしこの日、ショットで声を出したのは「カモーン!」が3回だけ。「こんなに冷静だったのは久しぶり。これこそが、自粛期間に考えていたこと」と心は乱れることなく、しっかりと逆転につなげた。

試合内容も非常に安定した。「気持ちが落ち着いていると、きちんと考えられる」と、大坂特有のリスキーなショットは影を潜めた。以前のような当たり出したら止まらない怖さはない。ただ、勝っても負けても短時間という試合ではなく、この日は、どっしりと崩れない新たな強さを見せた。

女子は8月3日のイタリア・パレルモの大会でツアーは再開したが、今大会がトップ選手がそろう本格的な幕開けだ。しかし、第1、2シードが初戦で敗退。コロナ禍の大会は波乱が続いている。次戦は同25位のヤストレムスカ(ウクライナ)と対戦する。相手は、大坂を2度の4大大会優勝に導いた元コーチのバイン氏が指導する選手だ。大坂をよく知るバイン氏を敵に回すことになるが、「あまり多くを知らない選手」と意に介せずだった。