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熊野の伝統的茶を引き継ぐ 茶畑受け継いだ倉谷さん - 朝日新聞社

 世界遺産・熊野本宮大社のある和歌山県田辺市本宮町で、20代の女性が祖父母の畑を受け継いで茶作りに励んでいる。釜で炒(い)り、天日で干して作る伝統的な番茶の製法を受け継ぎながら、お茶の可能性を探り、新たな風を吹かせている。

 細くて急な山道を登っていった先に茶畑が広がっていた。広さは約75アール。ここで倉谷夏美さん(25)が茶を栽培している。この畑でお茶をいれてもらった。香りがすっと鼻から抜け、後味さっぱり。ほっとする味だった。

 倉谷さんが栽培を始めたのは2018年。この年の初め、長年茶作りをしていた祖父が亡くなり、家族が引き受け手を探した。

 子どもの頃から畑を手伝っていたが、当時倉谷さんは、管理栄養士を目指す大阪の専門学校生。「もったいない。でも自分じゃできないな」と思っていた。

 そんなとき、専門学校在学中にホームステイで1カ月お世話になったハワイの友人家族から「なっちゃんがやれば」と背中を押された。卒業したこの年の夏ごろから茶農家になった。

 とはいえ、技術は無く、近くの農家や「川添茶」で有名な白浜町の茶農家らに教わり、試行錯誤しながら、茶作りを始めた。

 熊野地方には、摘んだ茶を釜で炒る伝統的な番茶の製法が残っている。倉谷さんもこの製法を受け継いだ。5月に摘む一番茶を釜炒りした後、もんで天日で干し、さらに釜炒りして仕上げていく。

 祖父の時代から、農薬は年1回程度の使用だったというが、より安全で、食べても大丈夫な茶を作りたいとの思いから、思い切って無農薬にした。「一年中草取りに追われます」。また、できるだけ地元の物を循環させたいと、畜産農家の牛ふんや米農家のもみ殻を肥料にしている。

 育てた茶の商品名は名前にちなんだ「なっ茶」。パッケージには、「熊野で育った、特別な番茶」と記した。地元だけでなく、県内外に販路を開拓し、セレクトショップや飲食店、美容室などに置いてもらっている。お茶を使い、クッキーなどにして販売する人もいるという。「お茶を通して人のつながりが広がることがありがたい」

 茶産地としては静岡や京都などが有名だが、和歌山でも、茶がゆの伝統があるように独自の茶文化が受け継がれている。日本茶の消費量が減る中で、倉谷さんはホームページ(https://natsumichatsumitea.wixsite.com/cddv別ウインドウで開きます)で情報を発信。「普段、お茶を飲まない人にどう提案していくか」を考え、味やパッケージなどを模索している。今年は煎茶も作り、自分の顔写真をあしらったパッケージで販売した。手もみの技術も学んでおり、いつかは手もみのお茶や紅茶にも挑戦したいという。

 倉谷さんは「やってみたいことはたくさん。いまはまだまだな部分ばかりなので、いろんな所へ足を運んで勉強をしていきたい」。夢は広がっている。(西江拓矢)

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